田辺 とおる

  横浜市出身。県立横浜翠嵐高校卒業後、ザルツブルクのモーツァルテウム音楽大学フルート科に入学したが、オペラ通いに熱中して声楽科転向。ミュンヘン音楽大学のブラシュケ教授と当時バイエルン国立歌劇場専属歌手だった山路芳久氏に師事した後帰国して、疋田生次郎教授のもとで武蔵野音楽大学声楽科卒業。
 
 1991年国際ロータリー財団奨学生試験とドイツ語教育機関ゲーテ・インスティトゥートの上級中央試験に合格して再度オーストリア留学。グラーツ音楽大学オペラ科を修める。カタラーニ国際オペラコンクール(イタリア・オストラ市)入賞。北ハルツ劇場(ドイツ)と専属バリトンソリスト契約。多くのオペラ・オペレッタ・ミュージカル・歌曲演奏会に経験を積んだ。メルビッシュ音楽祭「微笑みの国」(NHK中継)、マルガレーテ・オペラ祭「トゥーランドット」などオーストリアの音楽祭にも出演。

 日本国内では独唱会のほか、オペラでは殊に2002年「無口な女」(R.シュトラウス)の理髪師役で圧倒的な成功を収め、「なりゆき泥棒」(ロッシーニ)「サー・ジョンの恋」(ヴォーン・ウィリアムス)「当惑した家庭教師」(ドニゼッティ)「ルクセンブルク伯爵」(レハール)などで新国立劇場にも出演。2007年東京二期会公演の「天国と地獄」ジュピター、2008年「ナクソス島のアリアドネ」(R.シュトラウス)の執事長は大好評を博した。
 
 2009年、東京・荒川区で、ワーグナーを定期上演するドイツオペラのカンパニー《オペラ劇場あらかわバイロイト》を設立。主役を歌うと同時に制作を統括し、「パルシファル」「神々の黄昏」「魔笛」など多くの公演を大成功に導いた。一方、「田辺とおるのドイツ便り」「ウィーナーリート、サロンコンサート」など、得意のおしゃべりと歌でつづる、親しみやすいユニークな企画の数々が好評を博している。
 
 その他の主な出演作は【オペラ】ヘンゼルとグレーテル,放蕩者のなりゆき、皇帝と船大工,魔笛,フィガロの結婚,コジ・ファン・トゥッテ,奥様女中,さまよえるオランダ人,ラインの黄金,ワルキューレ,神々の黄昏,影のない女,アラベラ,ナクソス島のアリアドネ,なりゆき泥棒,ホフマン物語,じゃじゃ馬ならし,ラ・ボエーム,トスカ,サロメ,オネーギン,椿姫,アイーダ,カルメン,ジャンニスキッキ等。【オペレッタ】こうもり,ジプシー男爵,ルクセンブルク伯爵,天国と地獄など。【ミュージカル】王様と私,アニーよ銃をとれ,キャバレ等。【演奏会】冬の旅,亡き子を偲ぶ歌,子供の不思議な角笛,レクイエム(モーツァルト,フォーレ),第九交響曲,カルミナブラーナ,メサイヤ等。

 【演奏以外の活動】 
 
 ドイツの劇場歌手時代に演技力と語学力が高く評価され、その後も歌手活動と並行して俳優・声優としても活動する。映画「ラストサムライ」「バットマン」「インセプション」の渡辺謙、ドラマ「ロスト」の真田広之などの声を独・仏・スペイン語に吹き替えた他、ドイツでは多くのCM・ドラマ等に出演。またドイツ企業の日本向けフィルムのナレーションも数多く手がけている。日本でもNHK音楽番組から明石家さんまのバラエティーまで、多彩なテレビ番組に出演。文芸春秋・合唱表現などの雑誌連載でも健筆を揮う。また楽譜編集にも積極的で、「ドイツ訳・日本歌曲集」「オペレッタアリア集」などを刊行している。ドイツ語の歌唱法と歌詞解釈については数本の論文を学会発表している。2015年以来、世紀転換期ウィーンの作曲家フランツ・シュレーカーのオペラを継続的な研究テーマとし、2017年東京外国語大学大学院ドイツ文学専攻において修士号(学術)取得。現在博士後期課程在籍中。

 【教育活動】

 2007年より国立音楽大学声楽講師として声楽レッスンを担当。2011-2014年名古屋芸術大学でリートと日本歌曲のゼミ、2014年より名古屋音楽大学でドイツ歌曲・オペラのゼミを担当している。イタリア・ベルカント指導の大家だった師疋田生次郎のメソードと、イタリア・ドイツのオペラ・歌曲の双方を演奏したドイツの劇場歌手経験を生かし、的確な声楽技術指導・言語指導と歌手としての表現指導などに定評を確立し、好成績の学生を輩出している。

 2009年に社団法人東京国際芸術協会において、「東京国際声楽コンクール」を創設。事務局長・審査員として全国20数か所の地方大会・准本選・本選すべての審査会に参加し、細やかなサポートと講評などにより多くの受験者から厚い信頼を寄せられている。

Promotion Video:   www.youtube.com/watch?v=6ukNpT1gopQ

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田辺とおる / 小畑朱実 info@tanabe.de